2000年度 卒業研究論文

近年，様々な情報をリアルタイムで通信する近い将来の高度なマルチメディアサービスに対する情報基盤となるテラビット級の超高速, 大容量ネットワークを実現するためには, 光の高速性を最大限活用する全光型ネットワークが要求される. 従来より用いられている交換処理を行う電子回路には速度の限界が存 在するが, 光素子で実現可能な論理機能ではそのような複雑な機能を持つネットワークを実現するのは困難であり, 自律ルーチング方式が適していると考えられる.

一方, 光多重化方式としては, これまでは時分割多重(TDM)と波長分割多重 (WDM)が主として研究されてきた. 本研究室では, TDMで要求される同期処理やWDMで必要となる複雑な光デバイスを必要とせず, 単純な機器で実現できる符号分割多重(CDM)を多重化方式とし, CDM符号にラベルの機能をもたせスイッチングに用いる符号ラベル形光CDM交換方式を提案している.

しかし, 本方式では各チャネル間の符号間干渉が予想され, 誤り率を許容範囲内に抑えて通信品質を確保し, 必要符号長を可能な限り小さくするためには, 各交換ノードにCDM符号を適切に割当てることが必要となる. そこで本交換方式を用いるネットワークのための符号割当法を提案する. まず符号割当ての際に考慮すべき制約条件を提示する. これは正しく交換を行い不要な信号成分の流出を防ぐためのものである. 次にこの制約の下で割当て符号を決定する方法を示す.

最後に, 種々のネットワークに対して符号割当法を適用した. 本交換方式に適した構成を検討し, 本交換方式の実現可能性について考察を行った．