近年,家庭への高速のインターネット環境や情報家電の普及に伴い, ホームネットワークと呼ばれる分野への関心が高まってきている. 将来のホームネットワークでは,リアルタイムトラヒック (RT)を中心に扱うことが 予想されるため,それらのQuality of Service (QoS)管理が重要となる.
現在のホームネットワーク環境ではQoS保証可能な プロトコルが存在しないため, 筆者の研究室ではホームネットワーク上のQoS制御付き MACプロトコルであるHomeMACを提案している. HomeMACは非RTのためのCSMA/CDモードと RTのためのTimed Tokenモードを切り替えて伝送を行う.
しかし,現在のHomeMACのみを用いたQoS制御方式では, ホームネットワークに接続している情報家電がRTを伝送する場合, ネットワークの利用可能帯域等を考慮に入れずに伝送を行うため, 伝送開始時にタイミングフォールトが頻発する可能性が ある.
そこで,本論文では,この問題を解決するために,HomeMAC環境下において, RTの伝送前に,ホームネットワークの中心的な管理を行う Residential Gateway (R/G)で呼の受付可否判定を 行う方式を提案する. 本方式では,Management Information Base (MIB)情報として ホームネットワーク内の各サブネットワークの回線速度, 使用帯域幅等の状態を定期的に取得し, これを基に計算した空き帯域の見積もりをR/Gで保持する. そして,接続要求呼のQoSレベルと接続中のコネクションのQoSレベルを 段階的に調整して受付可否判定を行う.
本論文では,MIB情報が正確に取得できることをホームネットワークを想定した 環境での実験により確認する. さらに,計算機シミュレーションにより本方式を HomeMACの伝送開始時のQoS低下を抑えることを明らかにする.