渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2003年度 卒業研究論文

光ネットワークの波長パスグループ化を考慮に入れた経路設計手法に関する研究
廣田 悠介

将来の高品質なマルチメディアサービスを実現するため,基幹系ネットワークの超高 速化,大容量化が求められている.現在のネットワークの主要構成要素である交換部は 複雑な電子回路で構成されており,高速,大容量化することは技術的に困難であるため, 光の高速性・広帯域性を最大限活用した全光型WDMネットワークが期待されている.

マルチエージェントシステムでは,ノード内で複数のエージェントが活動する場合, 一般にノードのCPU資源は全てのエージェント間で共有されるため,ノード内のエージェント数が増加すると, それぞれの処理完了までに要する時間が大きくなる.

光伝送可能な波長帯域は拡大されてきており,伝送容量の増加は実現可能であるが,従 来から考えられている全光型WDMネットワークにおいては,パスの増加に伴いスイッ チの大規模化が必要となる.しかし,光スイッチの大規模化には技術的,設備コスト的 な問題がある.これに対し,スイッチで複数波長をグループ化し一括的な交換処理を行 うことにより,スイッチの大規模化を抑制することが可能である.そこで筆者らは,対 地間トラヒックデマンドに応じた複数波長の束を処理単位とする光波長群ネットワーク に加え,さらにスイッチを小規模化するために,経路が部分的に一致する複数の波長パ スを集約する波長群パスのグループ化法を提案している.これらは,経路が既知である 場合の波長割り当て問題のみを扱っており,ルーチング問題は扱っていない.グループ 化によるスイッチポート数削減効果を考慮した経路設計を行うことで,更なるスイッチ の小規模化が実現可能となると考えられる.

以上のような背景の下,本研究では,逐次決定型と経路変更型の2種類のアプローチ による経路設計手法を提案する.逐次決定型は,効率良くパスを集約させることにより, ポート数削減効果を高めたものであり,経路変更型は,必要波長数と必要ポート数に基 づいた新たな評価コストを導入し,最適と判断される経路への変更を繰り返し行うもの である.

最後に,種々のネットワークに対して,提案アルゴリズムを適用した場合の必要ポート 数と必要波長数を定量的に評価し,本方式の有効性を示した.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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