渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2005年度 卒業研究論文

時間制約下でのワークデマンドの不均質性を考慮したエージェント制御に関する研究
チャン グェン チュン

近年,情報通信技術が急速に発展するのに伴い,大規模かつ複雑になりつつなる ネットワーク上での作業を効率よく遂行できる技術として,モバイルエージェント が注目されている.その中で,複数のエージェントが並列的に稼動するシステム をマルチエージェントシステムと呼ぶ.

マルチエージェントシステムでは,ノード内で複数のエージェントが活動する場 合,一般にノードのCPU 資源は全エージェント間で共有されるため,ノード内の エージェント数が増加すると,それぞれの処理完了までに要する時間が大きくなる.

情報検索などのような時間制約のあるアプリケーションでは,制限時間内に可能 な限り多くのノードで処理を完了することが重要である.本研究室では, 時間制約を考慮した上で,エージェントの移動と実行に伴う処理完了エージェン ト数の増減を予測し,効率的な制御を実現する方式を提案している.しかし, その移動実行制御方式は,各エージェントのワークデマンドが均質な場合しか考 慮していない.

そこで本稿では,時間制約下でかつワークデマンドが不均質な環境におけるエー ジェント制御方式を提案する.複数のエージェントが同じノードに存在する際, 注目するエージェントが他のエージェントから影響を受けることにより,処理完 了に要する時間が長くなり,処理完了確率も変化する.各エージェントの ワークデマンドが不均質な場合,それらのエージェントからの影響による処理完 了確率の変化も異なる.提案方式ではこのような影響をワークデマンド別に 考慮して各エージェントの処理完了確率を導出し,予測処理完了エージェント数 が増加する場合のみエージェントの移動と実行を開始する. これにより,異なるワークデマンドのエージェント間にも公平性を保持し,全体 の処理完了ノード数を増加することができる.

最後に,シミュレーションによる性能評価により,既存の移動制御方式と比較 し,提案方式の有効性を確認した.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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