2006年度 卒業研究論文

近年，携帯電話や無線LANを始めとする無線通信システムが多様化しており，それに伴って移動端末の利用者も急増している． そこで，各無線通信システムを統合する事で，ネットワークの状態やアプリケーションの要求するQoSに応じて接続する無線アクセスリンクを切り替え， より満足度の高い移動通信を可能とする，無線統合網の構築が期待されている． 一方，IEEE 802.11g/nなどの無線通信システムの広帯域化に伴い，無線環境においてストリーミングサービスが増加している． そのため，将来的には，無線統合網におけるストリーミングサービスの利用が予想される．

ストリーミングサービスを行う際，一定のQoSを保証する必要がある．

そこで，本稿では，要求されるスループットを確保するために， EDCAの優先制御を用いてハンドオフ端末フローの優先度を上げる事で，迅速にcwndを回復する方式を提案する． 具体的には，ハンドオフ直後にパケットの優先度を通常よりも高くすることで端末とアクセスポイント間で優先的に通信が可能となり， cwndをより迅速に増加することができる． その後，要求されるスループットを確保すると，優先度を元に戻し他のフローへ与える影響を抑制する． 最後に，シミュレーションを用いて本提案方式の性能を評価した．