2008年度 卒業研究論文

近年，分散配置された複数の種類のコンポーネントを利用してアプリケーションを提供するネットワークサービスへの注目が 高まっている．このようなネットワークサービスでは一つのコンポーネントが複数のサーバによって共用されているため， 障害への対策が重要な問題となる．本研究室では，同一機能を持ったコンポーネント同士が構築するオーバレイネットワークを利用して コンポーネント障害の際に代替となるコンポーネントを探索する手法を既に確立した． しかし，このようなネットワークサービスにおいて，障害発生箇所の可能性としては コンポーネント障害，ノード障害，物理ネットワーク障害が挙げられるのに対して， 現状ではその障害検知手法は特に規定されていない．

そこで本論文では，障害の発生箇所は単一であるという条件で，複数のオーバレイネットワーク間での協調によって障害の可能性がある ノードとの応答情報を最低限の送信メッセージ数で収集し，それらを基に障害箇所を特定する手法を提案する． 本手法によって，アプリケーションレベルでの効率的な障害検知が可能となる． 本論文では，シミュレーションによる 性能評価により，本手法が正確な障害検知を低いメッセージ数で実現できることを明らかにする．