渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2010年度 卒業研究論文

ネットワーク管理に最適な多階層トポロジに関する研究
元橋 智紀

近年,マルチメディアデータのストリーミング配信,ファイル共有システムなどの多種多様なトラヒックが,ネットワーク上を流れている.また,ネットワークの発展に伴いそ のトラヒック量は増大している.

従来型のネットワーク管理では,ネットワークの管理者と管理対象機器が管理情報を収集し,管理者が情報をモニタリングすることで,ネットワークの管理を行ってきた.しか し,大規模なネットワークを管理する場合には管理者が全ての管理対象機器をモニタリングするのは現実的でない.この問題の解決策の一つとして,ネットワークの階層化が挙げ られるが,増大し多様化するトラヒックを監視し,ネットワーク管理を行うためには,より高度な分散管理が要求される.

そこで本研究では,ネットワークを監視する各管理対象機器が自律的に管理を行う分散型管理ネットワークを構築することを考える.階層化した管理ネットワークで各階層がそ れぞれの管理機能を持つことで,局所的な管理と大域的な管理を同時に行う.これによって,リアルタイムに変動するトラヒックに柔軟に対応できると考えられる.階層化した管 理ネットワークにおいても,その管理情報を必要とする周囲へのノードへ拡散したり,大域管理を行うノードへの適切な伝達情報の縮退など,多様なトラヒックが存在することが 考えられる.多様なトラヒックを効率よく制御するためには,各階層に適切なトポロジを用いることが重要な要素の一つである.しかしながら,各階層のトポロジ及び各トポロジ で有効なトラヒックパターンの関係は明確でない.

そこで本研究では,分散型多階層管理ネットワークの構築に向けた基礎研究として,多階層トポロジと通信形態の関係性を明らかにする.具体的にはホップ数による通信時間の 評価と通信時のリンク,ノード負荷の評価を行い,各多階層トポロジに対する有効なトラヒックパターンの比較評価を行い,管理ネットワークに適用するためのトポロジに関する 最適条件を明らかにする.

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