2011年度 卒業研究論文

近年，無線通信機能を有するセンサ端末が自律的にネットワークを構築する無線センサ ネットワーク(WSN: Wireless Sensor Network) への期待が高まっている．今後WSN では， センサノード数の増加により，バッテリの交換や充電がさらに困難になると予想されるた め，各センサノードにかかる通信負荷を分散させ，WSN 全体の寿命を延長することが重要 となる．

また，WSN の実用化が進むにつれて，同じ領域内に異なるWSN が重なって構築される 状況が増加している．このような場合，複数のネットワークが互いに協調することにより， 各ネットワークの寿命を延長できる可能性が考えられる．単一のWSN内ではクラスタリン グ等による負荷分散が一般的であるが，複数WSN間の協調による負荷分散についての研究 はほとんど行われていない．

そこで本研究では，シンクへデータを送信する際，異なるWSN のノードを経由するこ とにより，各WSN における通信負荷の高いノードの通信回数の削減を図る．そのために， WSN 間の中継役としてマルチチャネル通信可能な共有ノードを導入した，複数WSN 間協 調型ルーチング方式を提案する．

最後に，計算機シミュレーションによる性能評価を行い，提案方式によってWSNの寿命 が延長可能であることを明らかにする．