渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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1998年度 修士学位論文

符号分割多重スイッチによる自律ルーティング型光ネットワーク
西 章兵

近い将来の高度なマルチメディアネットワークサービスの提供のためにテラビッ ト級の超高速、大容量ネットワークが必要となるが、従来より用いられている 電子回路には速度の限界が存在し、光の高速性を最大限活用する全光型ネット ワークが要求される。しかしながら、全光型ネットワークにおいて光素子で実 現可能な論理機能では従来のような複雑な機能を持つネットワークを実現する のは困難であり、自律ルーティング方式が適していると考えられる。

一方、光多重化方式としては、これまで時分割多重(TDM)と波長分割多重(WDM) が主として研究されてきた。しかしながら、両方式とも多重度の向上には限界 があることが指摘されている。他方、無線分野で実用化されている符号分割多 重(CDM)が光多重化方式としても注目を集めており、CDMを光多重化方式として 利用することによりさらに通信容量を増やせる可能性がある。しかし、光CDM スイッチに関する報告は原理提案に留まっており、大規模なネットワークへの 応用を目指したものは無い。

そこで本研究では、自律ルーティングを指向し、ソースルーティングを用いた パケット構築手法と光マトリックスにより経路処理の単純化を図った全光型 CDMスイッチの構成を提案し、提案スイッチを応用可能なネットワークの一構 成を示す。また提案ネットワーク構成に対しTDM及びWDM技術を組合せた場合の 拡張例を示し、現在需要が増大しているTCP/IPベースのトラフィックをカプセ ル化により収容する手法を示す。

さらに、CDM符号としてGold符号を適用した場合におけるエラーフリー条件で の最大チャネル数及びBER特性を計算機シミュレーションにより求める。また CDM符号の変調方式によるBER特性の変化を調べ、本研究で提案したシステムに おけるデバイスに対する要求条件についても触れる。

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