渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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1998年度 修士学位論文

バースト情報転送を用いたマルチキャスト映像配信方式に関する研究
宇野 哲史

今日,超高速B-ISDNの積極的かつ効率的な利用を図るべく,そのアプリケーショ ンが模索されている.一方,個人生活の多様化が進むにつれ,各自が視聴希望 する番組を放送時間通りに視聴することが困難になりつつある.その結果,ユー ザ要求としては,視聴希望番組を所望の時間に視聴することが可能なオンデマ ンド型の映像配信サービスに対する需要が今後さらに大きくなるものと考えら れる.従来,この要求に対するサービスとしてはビデオオンデマンドとして種々 の方式が実現されているが,通信帯域の浪費など,物理資源の制約条件,また システム効率の低さにより,現時点では一般的に広く普及するサービスとなる には至っていない.本研究では従来のシステム効率の改善を図るべく,超高速 ネットワークの基盤であるB-ISDNの利用を前提として,マルチキャストによっ て同一番組に対する複数ユーザからのリクエストを効率的に集約しつつ, ある 時間間隔毎に映像情報のバースト転送を行う転送方式を提案する. 従来方式で は番組サービス時間全般に渡って連続的に番組配信を行っていたのに対し, 提 案方式による配信形式は, 番組情報を一定時間毎にファイルに分割し, これら をバースト転送する. ユーザ端末では, ある程度まとまった番組情報が得られ るため, その範囲内での映像の個別制御が可能となる. また,番組情報ブロッ ク 2 個分の容量をもつことによって,各視聴ユーザによる再生制御の可能範 囲がブロック1個の場合と比較して倍に拡大され,より柔軟な個別の映像制御 を可能とする. さらに本論文では, 提案方式の原理的な限界性能を明らかにす るために,提供番組情報の利用頻度による差,運用システムの規模など様々な 組み合わせによる本方式の呼損率, リンク利用率を従来方式と比較・評価する. さらに,提案方式における配信周期の変動に伴う呼損率,マルチキャストの効 果について評価する.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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