渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2001年度 修士学位論文

IPv6ネットワークにおける分散型移動通信制御方式
河野 圭太

近年,移動端末からのインターネット利用に対する需要が増加すると共に,移動通信システムがインターネットとの親和性を高めることが期待されている.これを実現するため,今後の移動通信システムでは,IPを基盤としたネットワークの構築が有力視されており,このようなネットワーク上での移動通信制御機構を提供する技術として,Mobility Anchor Point(MAP)と呼ばれる階層ルータを利用することによりインターネット上で端末移動を伴う通信を制御する階層化モバイルIPv6が期待されている.

ここで,移動通信ネットワークのような広域性を有するネットワークにこの方式を適用する場合,その管理コストを抑えるためには,ネットワーク内に複数のMAPを分散配置し,移動特性に応じて分類した各端末を,それぞれに適したMAPで管理することが有効である.しかしながら,このような環境で従来のInternet-Draftで提案されている方式を利用した場合,MAPの選択は端末に委ねられるため,このような端末管理方針が適格に反映されない可能性がある.このことは,特定MAPへの負荷集中や制御メッセージ数増加の問題を引き起こし,ネットワーク管理コストを高めることになる.

そこで,本稿では,複数のMAPが分散配置されたネットワーク環境で,その端末管理方針を反映し,各端末の移動特性に適したMAPを用いた端末管理を実現することにより,ネットワーク資源を有効利用できる分散型移動通信制御方式を提案する.このとき,本方式では,各端末の移動特性を識別する指標として端末の移動速度に注目し,端末の移動先ネットワークで作成されたユーザエージェントが,当該端末の移動速度とそのネットワークでの端末管理方針から適切なMAPを選択することにより前述の問題を解決し,その目的を成し遂げる.最後に,シミュレーションにより本方式の性能を評価する.

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