渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2001年度 修士学位論文

IP網におけるブロック転送型映像マルチキャスト方式
宮本 慎吾

近年,映像放送サービス形態に加え,ユーザの生活の多様化に伴い,オンデマ ンド型映像配信サービスへの需要が高まっている.サービスの主要媒体として, 加入者線の広帯域化が急速に進んでいるIP網が挙げられる.しかし,従来のベ ストエフォート型のサービスでは,QoS保証が困難である.そこで,映像品質 の保証と通信帯域の効率的利用が可能な映像配信方式が必要となる.

既存方式のブロック型配信方式は,分割した映像ブロックを周期的に再生の数 倍の速度でマルチキャスト配信することにより,帯域利用の効率化を実現して いるが,現状のIP網ではバースト配信による映像品質劣化が発生し得る.対応 策として,信頼性マルチキャスト方式の採用が考えられるが,映像を明確な配 信対象とし,その特性と再生時間を考慮した方式は存在しない.そこで,本研 究では,MPEG映像を対象とし,ブロック型配信に適した映像マルチキャスト方 式を提案する.

提案方式では,クライアントのNACK返信周期となる配信単位を設け,1ブロッ クの配信時間を一括転送フェーズとMPEG映像の特性を利用した再送用の再送フェー ズに分割してマルチキャスト配信する.配信単位には,複数GoPをまとめたGoP グループ単位と,フレーム種別単位を定義する.この配信単位をフェーズごと に適切に適用することで,バースト廃棄による特定フレーム種別のロスの偏り の回避,重要なフレームの重点的な送信,配信が途切れる時間を最小限に抑制 可能といった利点が得られる.また,NACK implosion問題の緩和策として,中 間ノードによるNACK情報集約の方法を採用している.

以上の提案方式を計算機シミュレーションを用いて評価した.4つの提案方式 と従来のマルチキャスト方式について性能比較を行い,提案方式が映像品質の 保証に有効であることを確認した.また,再送をフレーム種別単位で行う方式 が特に有効であることを確認した.

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