渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2002年度 修士学位論文

耐故障性を考慮したエージェント通信ネットワークの動的論理構成法に関する研究
徳丸 裕章

近年,ネットワークの巨大化に伴い,ネットワーク上で公開される情報やサー ビスは急激に増加している.このような大規模ネットワークをユーザが効率良 く利用するための技術として,モバイルエージェントが注目されている.

筆者らの提案するマルチエージェントシステムAgent Gatewayでは,エージ ェントが活動するネットワークを,物理ネットワークとは独立に論理的に構成 する.エージェントはこのネットワーク内を移動し,ユーザ及び他のエージェ ントとメッセージを交換しながら仕事を行うため,構成されるネットワークの 形状は,エージェントの移動遅延及びメッセージの伝達遅延や,ネットワーク 内のトラヒック量に大きく影響する.さらに,ノードの障害によってエージェン トの移動やメッセージの伝達が不可能となることを防ぐため,任意の2ノード 間に複数の経路が必要となる.

本稿では,耐故障性を考慮しつつ動的なノード数の変化に対応するため,稼動 中の論理ネットワークに新規ノードから2本の論理リンクを接続することで論 理ネットワークを構成する方式を提案する.本方式は,さらにネットワークアプ リケーションの種類によってリアルタイム性と総トラヒック量の削減の重要度 が異なることを考慮し,その重要度に応じて論理リンクの接続先を決定するこ とにより,適切な論理ネットワークの性質を構成できる.ここで,ノードにお ける処理遅延が,そのノードに接続された論理リンク数に比例することに注意 し,ノード間を論理的に経由するノードの接続リンクの延べ総数を抑えること で,リアルタイム性を実現する.

最後に,シミュレーションによる性能評価によって,提案方式を用いて生成さ れた論理ネットワークが,要求される目的に応じて,エージェントの移動やメ ッセージの伝達に要する遅延を低減,あるいは総トラヒック量を削減できるこ とを確認した.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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