渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2003年度 修士学位論文

コンテンツ配信におけるハイブリッド型スケジューリングに関する研究
謝 正宇

今日,ユーザの生活パターンの多様化に伴い,各自が希望するコンテンツを希望 時にネットワークを通じて視聴したいという要求が高ま っている.このため,Asymmetric Digital Subscriber Line(ADSL),ケーブル テレビ,さらにはFiber To The Home(FTTH)に代表される高速な加入者線サービ スの急速な普及を背景としたVideo on Demand(VoD)や,各種Content Delivery Network(CDN)等の映像配信技術が注目されつつある.

既存の映像配信方式はユニキャスト方式,ブロードキャスト方式と マルチキャスト方式に分類できる.ユニキャスト方式はサーバ・クライアント間 に専用コネクションを確立して1対1通信により配信を行う. 従って,配信時クライアント数に比例した帯域が必要となり,システム運用面 で非効率的である. ブロードキャスト方式は 高負荷時にレスポンス時間が安定しているが, 人気度の低いコンテンツを 配信する場合,通信帯域を浪費してしまう. また,マルチキャスト方式は, マルチキャストによりシステム負荷が軽減され, オンデマンド的なスケジューリングにより,リクエスト棄却, レスポンス時間とも良い特性を示す.しかし,リクエスト頻度が高い場合, リクエストの棄却率とレスポンス特性がともに急激に悪化する.

そこで,本研究では単一の配信方式ではなく,複数の配信方式を並行して採用 するハイブリッド型コンテンツ配信法を提案する.本方式ではサーバの配信帯 域を複数チャネルに分け,リクエスト頻度が低い多様なコンテンツをマルチキャ スト方式のチャネルによって配信し,リクエスト頻度が高い特定のコンテンツ のみブロードキャスト方式のチャネルによって配信する.この際,各コンテン ツの人気度により最適なチャネル配分を算出し,適切な方式で配信する.また, コンテンツの人気度の変動に伴って,動的にチャネル間の再配分を行い,本シ ステムは常に最適なチャネル配分で両配信方式を並行動作させる.このように, ハイブリッド型配信方式はブロードキャスト方式やマルチキャスト方式の利点 を融合し,欠点を補完するものである.計算機シミュレーションにより,平均 待ち時間と棄却率の特性において,提案方式の有効性を確認する.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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