渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

english

2003年度 修士学位論文

GMPLSパスの部分切り替えを実現する
経路制御方式に関する研究
山田 直幸

近年の通信技術の発達によってネットワーク上を流れるトラヒックはますます多種多様化し,効率的なネットワーク運用とQoSを保証した通信の実現が望まれている.次世代のフォトニックネットワークを制御する技術であるGMPLSは,ラベルによる高速な転送処理と帯域を保証した通信とを実現する.さらに,トラヒックエンジニアリング技術では,ネットワークの負荷分散やトラヒックの性質に応じたQoSの制御などにより,ネットワーク資源の効率的な利用を実現することが可能である.しかし,このGMPLSネットワークでは,比較的大容量なパスを準静的に扱う設定になっているため,小容量のパスを利用する個人レベルのユーザに対してもラベルを提供することは難しく,きめ細かいサービスの実現は困難である.そこで,本研究ではより細かなパス設定を行うためにGMPLSパスの部分切替を実現する経路制御方式を提案する.

本研究では,GMPLSネットワークにおいて,エッジルータとの間に部分的なパスを設定し,それを部分的に切り替える機能を持つ部分パス切替LSRを導入する方式を提案する.本方式では,ラベル・スタッキング技術を用いて,送信端のエッジルータでラベル情報の多重カプセル化を行い,複数の部分パスのラベル情報を持つパケットを生成する.そして,ネットワーク内の部分パス切替LSRが多重化されたラベル情報を取り除いていくことにより,部分パスを連結した経路での通信を実現する.また,ネットワーク状況に応じて部分パスを動的に切り替えるトラヒックエンジニアリング機能を導入することで,さらなるネットワーク性能の向上を行う.

本稿では,提案方式の有効性を,計算機シミュレーションにより呼損率の点から評価を行った.その結果,本方式が,ネットワークの性能を向上させることを確認した. また,実装したネットワークにおいて,本方式の動作を確認することにより,その正当性を示した.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
pagetop