渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

english

2004年度 修士学位論文

光バースト交換網における複数の共有木を利用したマルチキャスト設計法に関する研究
本多 弘明

将来の高度なマルチメディアサービスを実現するため,光の高速性を活用した光波長分 割多重(WDM) 網の積極的な導入が進められている.WDM技術の適用においては,実用 可能な波長数に限りがあることが問題となり,ネットワーク内での波長資源の有効利用が 重視される.そのため,近年,光レイヤでのマルチキャスト通信が注目されてきている. 電気的な制御処理と光によるデータ転送を分離化することで光の高速性を最大限活用 可能な光バースト交換網におけるマルチキャストでは,複数のIP トラヒックを集約した バースト毎に伝送経路及び波長の予約を行えばよく,効率的な帯域の利用が可能となる が,ユニキャストと比較してその制御は複雑になる.その問題を解決するために,制御パ ケット転送数の抑制を目的としたTree-Shared マルチキャスティングの概念が提唱されて いるが,これまでの方式ではマルチキャストトラヒックに対し動的に対処することはでき ない.また,不要Egress エッジルータへのバースト転送に伴うパケット廃棄処理遅延の 増加も解決すべき問題である.

以上のような背景の下,本研究では,ルーチング処理の簡素化,及びマルチキャスト呼 収容効率の向上を目的とする動的なTree-Shared マルチキャスティングを新たに提案する. また,各設計段階における共有木の生成手法,共有木の選択手法,及び波長割り当て手法 を提案する.共有木生成手法では,重複をできる限り避けるように複数の共有木を設計し 伝送経路として用意しておくことにより波長資源の浪費の抑制が期待される.また,共有 木選択手法では,“適合率” という指標を基に共有木を選択し,不要Egress エッジルータ へのバースト転送数を抑制する.波長割り当て手法では,共有木毎に優先波長を設定し, バーストロス率の削減を図る.さらに,ネットワークトポロジに対し,提案方式を適用し た場合のバーストロス率,平均使用波長数,平均収容マルチキャストセッション数,及び 不要Egress エッジルータへのバースト転送数を定量的に評価し,本提案方式の有効性に 関する考察を行う.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
pagetop