渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2005年度 修士学位論文

時間制約付き情報検索における処理結果の質を考慮した
エージェント実行制御方式に関する研究
鎌田 英朗

近年,大規模化の進むネットワークをユーザが効率良く利用するための技術として,モ バイルエージェントが注目されている.また,その中で,エージェントが同一環境内に複 数存在するシステムをマルチエージェントシステムと呼ぶ.

マルチエージェントシステムの典型的なアプリケーションの一つである時間制約付き情 報検索において,各エージェントが取得した検索結果にユーザの要求に対する質の違いが あり,それらの結果がスコアリング可能である場合,制限時間内に多くのノードで検索を 完了し結果を取得することが重要である.このとき,各エージェントはノードの状況や制 限時間に関わらず検索を行うため,制限時間内に検索を完了できないエージェントの検索 続行が,システムの効率を低下させるという問題がある.また,高スコアの結果を取得 し,それ以上の結果を取得する可能性が低いエージェントの検索を終了させることで,結 果を取得できていない他のエージェントが高スコアの結果を取得するとユーザごとのエー ジェント間で取得結果のスコア差を抑えることが可能である.

そこで,制限時間内に検索を完了できない,あるいは既に高スコアの結果を取得してお り,そのノードでの検索により最高スコアを更新する情報を取得する可能性の低いエー ジェントの実行を抑える制御方式を提案する.この方式は,そのような高スコアの結果を 取得する可能性の低いエージェントが検索を続行することで,ノード上で実行されている エージェントの期待されるスコアの増加の和が大きくなるかどうかで判断する.大きくな る場合は検索を続行し,小さくなる場合はそのエージェントの検索を終了させる.これを ノード内におけるエージェントの到着,及び検索完了時,さらに他ノードにいる同ユーザ のエージェントの取得結果が最高スコアを更新した際に行う.

最後にシミュレーションによる性能評価により,本提案方式を適用しない場合に比べて 各エージェントが取得する結果の最高スコアの平均を高め,かつ各エージェントが取得で きる結果のスコア差という観点から公平性も改善されることを確認した.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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