渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2005年度 修士学位論文

無線統合ネットワークにおけるQoS 要求と資源の有効利用を考慮した
アクセスポイント選択方式に関する研究
上野 肇

近年,移動通信環境におけるインターネットユーザが急速に増加している.また,著し い発展を遂げる移動通信システムは,1 アクセスポイントあたりのサービスエリアが広 い携帯電話システムや,局所的なエリアで高速通信が可能な無線通信システム等,それ ぞれ異なる特徴を備えている.そのため,次世代の移動通信環境では,これらのシステ ムをユーザが利用目的や電波状況に応じてシームレスに利用できる無線統合ネットワー クの構築が期待されている.

一方,ユーザは移動通信環境において,これまでのWWWやメールだけでなく,動画 配信サービス等の大容量通信を行うアプリケーションを利用可能になった.これらのア プリケーションが必要とするQoS はそれぞれ異なるため,ユーザはアプリケーションに 応じて利用する移動通信システムを選択することで,より満足する移動通信が可能にな ると考えられる.

そこで,本稿では,アプリケーションに応じたQoS 要求とネットワークの利用状況を 考慮することで,より多くのユーザの要求を満足させるシステム選択方式を提案する.提 案方式では,まず,ユーザが利用するアプリケーションをベストエフォート通信とQoS 保証通信に分類する.そして,ベストエフォート通信は,アクセスポイントの利用可能 な帯域等のQoS の具体的な値とユーザが要求する各QoS の重みを基に各アクセスポイ ントの優先度を算出する.また,QoS 保証通信は,ユーザが要求するアプリケーション を利用できるQoS を提供可能なアクセスポイントの優先度が最大値になるように算出す る.このように算出された各アクセスポイントの優先度の中で最大値になるアクセスポ イントが複数存在する場合は,その中で利用状況が最も低いアクセスポイントを選択す る.この提案方式を用いることで,ユーザの要求に適したアクセスポイントを選択でき るだけでなく,新たに到着するユーザの要求をより多く満たし,ネットワーク全体の利 用効率を高めることが可能になる.最後にシミュレーションを用いて提案方式の性能を 評価する.

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