渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2006年度 修士学位論文

マルチエージェントシステムのための
公平かつ効率的なスケジューリングアルゴリズムに関する研究
ラナトゥンガ ヴィジタ

近年,情報通信技術の発展に伴い,大規模かつ複雑になりつつあるネットワーク上での 作業を効率よく遂行できる技術として,モバイルエージェントが注目されている.その中 で,エージェントが並列的に複数稼動するシステムをマルチエージェントシステムと呼ぶ.

エージェントがユーザから指定された全てのノードで処理を完了することを目的とする 場合,その応答時間は全てのクローンエージェントが処理を完了するまでの時間になる. 既存のエージェントシステムはエージェントの移動やエージェント間通信といった機能に 注目しており,各エージェントの実行に関しては各種OS で使われているRound Robin, Fair Share などの一般的なスケジューリングをそのまま適用している.しかし,これらの スケジューリング方式は指定された全てのノードで処理を完了する必要のあるアプリケー ションにおいてユーザ間の公平性と応答時間の効率性を保証できない.

本研究では,その解決策として互いに干渉しない複数チャネルの利用を可能にする マルチチャネルMACプロトコルに注目する.マルチチャネル環境では, 異なるチャネルを用いて複数の通信を同時に行うことができるため,大幅なスループットの向上が 期待できる.しかし,各端末が送受信機を1個のみ装備する場合,同時に1つのチャネルしか 利用できないという制約が生じる.そのため,フレームの送信先端末が別の端末と通信していた場合, その端末対が利用しているものと異なるチャネルを用いて送信されたフレームは送信先端末に 受信されることはない.その結果,送信端末による無意味なフレーム再送により,チャネル帯域を 浪費されてしまう.

そこで本稿では,処理中のエージェント数・各ノードの処理能力・各ユーザの同時実行 のエージェント数を考慮した上で,ネットワーク全体で処理中のクローンエージェント数 の少ないエージェントに優先的にCPU を割り当てることで,平均応答時間を短縮し,同 時に,同一のユーザに生成されたエージェント群に対して与えられるCPU 資源の総量を 一定にすることで,ユーザの同時生成のエージェント数によらず公平性を保つアルゴリズ ムを提案する.最後に計算機シミュレーションによる性能評価を行い,提案方式の有効性 を示す.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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