渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2006年度 修士学位論文

ブロードバンドIPネットワークにおけるEnd-to-Endの遅延安定化と
パケット損失率改善を実現するスケーラブル制御機構
山本 大

近年の情報通信インフラの発展に伴い,様々なアプリケーション, 特にIP電話やビデオ会議に代表されるリアルタイムアプリケーションの利用が急増している. そのため,これらを高品質に利用するためのQoS(Quality of Servie)保証技術の確立が要求されている. 本研究室においても,ルータの出力バッファ部において, パケットスケジューリングとパケット廃棄制御を連携することにより フロー毎の固定帯域配分を実現するQoS Controller(QoSC)を提案している. 筆者はこれまでに,上記QoSCが実装されたルータが存在するネットワーク環境下において, 全ルータにQoSCが実装されない場合においても,End-to-EndでのQoSを最大限確立する End-to-End遅延安定化機構について提案している.

本研究では,従来までの計算機シミュレーションによる遅延安定化機構の性能評価に加えて, ソフトウェアによる実装,ならびに実験による評価を行っている. その結果,従来までのシミュレーション結果と同様に, 本機構が遅延やパケットロスといった QoSの向上に効果的であることを実機実験を通して確認している. また,実映像トラヒックを用いることにより,視覚的な品質改善を定量的に示している. さらに本研究では,本機構を拡張することにより, 次世代の大規模ネットワークに適用可能であるスケーラブル制御方式を提案している. つまり,多数のフローが存在する環境において本機構を適用する場合を想定し, QoSC実装ルータにおける帯域や処理オーバヘッドの削減を目指す. 具体的には,従来までの基本量を変動するフェーズに加え, ルータ内のRSVPステートを更新するためのフェーズを新たに定義する. これにより,ネットワーク状況が安定し,基本量変動を行わない場合におけるオーバヘッドを削減する. また,ネットワーク変動に対する応答性を高め,迅速なEnd-to-End品質の改善を行うために, 初期設定時において経路上のQoSC実装ルータの配置構造を考慮して, 各QoSC実装ルータにおける予約基本量を差異化する方式について提案している.

本提案方式を計算機シミュレーションにより評価した結果, 提案方式は従来機構と比較してRSVPメッセージ数やQoSCの処理量といったオーバヘッドの削減の点から, ネットワーク変動に対する高い応答性を示すことを確認している.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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