渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2006年度 修士学位論文

無線センサネットワークにおける
環境エネルギー発電量の予測による効率的情報収集法
岡崎 高久

近年,無線通信機能を備えた多数のセンサ端末によって自律的に構成され, 環境情報を長期間収集・監視するワイヤレスセンサネットワークが注目を集めている. ここで,センサ端末は一般的に電池で駆動するが,多数のセンサ端末の電池交換は現実的に困難であるため, 電力の枯渇によるセンサ端末の機能停止が問題となる.

この問題を解決するためには,電力効率の良いセンサ情報収集法や太陽電池などの 環境エネルギーの利用が有効である.EEHFはセンサ情報収集法に適用されるフレームワークであり, 環境エネルギーの強弱に周期性が存在することを利用して周期ごとに将来発生する電力を予測することで, 環境エネルギーの有効利用を可能にし,ネットワークの長寿命化を図っている. しかし,発電量の予測精度は周期の長さに依存する点と,センサ情報収集には環境エネルギーの 利用を考慮しない既存手法を用いている点からアプリケーションによっては環境エネルギーを最大限に利用できないと考えられる.

そこで本論文では,各センサ端末が環境エネルギーを利用可能な場合にネットワークの 稼働時間を最大化するために,周期の長さに依存しない高精度な発電量予測, および環境エネルギーの利用を考慮したセンサ情報収集法を提案する. 提案する発電量予測では周期ごとの発電量予測に加え,予測間隔を細分化したより短期的な予測を行うことで, 予測精度を向上させる.また,提案するセンサ情報収集法では 各センサ端末の利用可能な環境エネルギーと残余電力量に基づくクラスタ構築を行うことにより, ネットワークの長時間の稼動を可能とする.

最後に,シミュレーションによる評価により,本方式がセンサネットワークの長寿命化を実現できることを明らかにする.

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