2006年度 修士学位論文

将来の高度なマルチメディアサービスを実現するため，光の高速性を活用した光波長分割 多重(WDM) 網の積極的な導入が進められている．WDM 技術を適用する際に，実用可 能な波長数には限りがあることから，ネットワーク内での波長資源の有効利用が重視さ れる．WDM技術における交換方式として，波長資源の有効利用やスイッチ制約の観点か ら，光回線交換と光パケット交換の中間に位置する光バースト交換方式が注目されてい る．光バースト交換網では，複数のパケットを集約したバーストデータの送信に先立ち， 制御パケットを専用チャネルを用いて伝送し，パス設定を行う．しかしながら，光バース ト交換網では，同一出力リンクに同じ波長を用いて出力することができないため，バース ト同士で衝突が発生するという問題がある．効率的な波長予約を実現するためには，一度 設定したパスを継続的に送信する手法やノード間で使用する波長の住み分けを行うこと で衝突発生確率を軽減するための手法が重要となる．

以上のような背景の下，本研究では，送信状況を管理するテーブルを導入することによ り先行バーストが予約した帯域を継続的に使用する手法を提案する．提案方式では，同一 宛先へ送信するバーストのみに追随し継続送信を行うだけではなく後発バーストが先行 バーストの経路を包括する場合についても継続送信を行う．これにより，継続送信の機会 を増加させ，一度使用したパスを効率的に利用することが可能となる．同時に，波長優先 度制御を組み込みネットワーク内で利用する波長資源の住み分けを行うことによりバース トロス率の低減を図る．最後に，ネットワークに対して提案方式を適用した場合の結果を バーストロス率，ホップ数間格差の面から示し，継続送信の有効性について考察を行う．