渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

english

2007年度 修士学位論文

IP基幹網との動的連携による広域モバイルアドホックネットワーク構築手法
越智佳景

近年,携帯移動端末同士が自律的にネットワークを構築するモバイルアドホックネット ワークへの期待が高まっている.モバイルアドホックネットワークは既存のインフラスト ラクチャの支援を必要としないため,簡便にネットワークを構築することが可能である. また,端末の自由な参加・離脱・移動により頻繁なトポロジ変化が発生するが,これに適 したいくつかのルーチングプロトコルが考案されており,中でも適用範囲の広いAODVが注目されている. ただし,モバイルアドホックネットワークでは無線マルチホップ通信 を用いるため,低スケーラビリティ問題や地理依存問題が存在する.

これらの問題を解決するため,MAC層・物理層における改善方式やIP層における改善 方式が提案されている.しかし,これらの方式は各々の問題を解決することは可能である が,低スケーラビリティ問題と地理依存問題を解決しつつ簡便にモバイルアドホックネッ トワークを構築することは困難である.

そこで本稿ではモバイルアドホックネットワークを構築するノードがIP基幹網に動的 に接続し,広域モバイルアドホックネットワークを構築する手法を提案する.具体的には AODVを拡張し,IP基幹網上での宛先探索を実現する.これによりIP基幹網を経由し た経路をMANET上の仮想的な経路として利用することが可能となる.すなわち,IP基 幹網をショートカットパスとして用いることで低スケーラビリティ問題を解決し,電波到 達範囲にない端末同士をIP基幹網経由で接続することで地理依存問題を解決する.従っ て,本提案を用いることでモバイルアドホックネットワーク構築の簡便性を失うことなく 地理的状況に依存しないスケーラブルな広域モバイルアドホックネットワークが構築可能 である.

最後にシミュレーションによる評価を行い,本方式が低スケーラビリティ問題および地 理依存問題を解決できることを明らかにする.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
pagetop