渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2007年度 修士学位論文

複数オーバレイネットワーク間の協調ルーチング手法
チャン グェン チュン

近年,インターネットの普及に伴い通信トラヒック量が膨大となっている.IP ネット ワーク上では,主に最短経路検索アルゴリズムを用いたルーチングが行われているが,最 短路が必ずしも最適な経路とは限らない.

この問題を解決する手法として,オーバレイルーチングが注目されている.オーバレイ ルーチングは,ユーザ間で構築されたオーバレイネットワーク上で,オーバレイノードを 中継することにより,通信品質の高い経路をIP ネットワークと関係なく柔軟に選択でき る.ここで,オーバレイネットワークの普及につれて,同一のIP ネットワーク上に複数 のオーバレイネットワークが構築されることが考えられる.このような環境では,異なる オーバレイネットワークの経路が一部のIP ネットワークの経路を共有する可能性がある. しかし,各オーバレイネットワークは一般に他のオーバレイネットワークの存在と共有物 理リンクの利用状況を把握しないため,共有物理リンクを効率的に利用することが困難と なり,全体のオーバレイルーチングの性能が低下する問題が生じる.

本研究ではこの問題を解決するために,全体のスループットを向上させるための複数 オーバレイネットワーク間の協調ルーチング手法を提案する.提案方式では,利用可能帯 域幅を用いてオーバレイ経路を評価する.複数のオーバレイ経路が一部の物理リンクを共 有する場合,新しいフローが共有物理リンクの含まれた経路を利用すると,通信中の他の オーバレイフローの利用可能帯域幅も減少する.このような利用可能帯域幅の変化をエー ジェントを用いて観測し,利用可能帯域幅とその経路を利用することによる他のオーバレ イフローの帯域幅の減少との和が最小となるような経路を選択する.

最後に,提案方式の有効性はシミュレーション実験により確認する.

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