2008年度 修士学位論文

近年，無線通信システムの多様化やマルチメディア通信の普及によって，無線アクセス網の広帯域化への期待が高まっている． 特に，複数のWiFiアクセスポイント(AP)を相互に無線で接続するWiFiメッシュネットワークが注目されている． このネットワークにおいて，外部ネットワークとは有線接続された一部のゲートウェイAPを経由して通信する． また，各APがマルチチャネル・マルチインタフェース機能を有している場合， 各無線リンクに対して動的に利用チャネルを変更することで， ネットワーク容量を増加させることが可能である． しかし，外部ネットワークと通信するユーザが多いと，ゲートウェイAPに負荷が集中し， スループットが低下するという問題がある，

そこで，WiFiメッシュネットワークとWiMAXを連携したWiMAX/WiFi連携メッシュネットワークが提案されている． このネットワークでは，一部のAPをWiMAXと無線接続させ，ゲートウェイとして動作させることで， 各ゲートウェイAPの負荷を分散する．

一方，周波数帯域の逼迫が問題となっており，WiMAX/WiFi連携メッシュネットワークのような複数のシステムが混在する環境では， 各システムの周波数の利用状況に偏りが生じる． そこで，近年，既存のシステムとして割り当てらている周波数帯域を別の無線通信システムが二次利用する ダイナミックスペクトルアクセス技術が期待されている．

本稿では，WiMAX/WiFi連携メッシュネットワークにおいて， ダイナミックスペクトルアクセス技術を用いてWiFiとWiMAXの周波数帯域をシステム全体で共有し， 効率的に周波数帯域を割り当てることにより，周波数の利用効率とシステム全体のスループットを改善する， 周波数共有手法を提案する．

最後に，シミュレーションにより本方式の性能を評価した結果，本方式の適用により周波数利用効率と システム全体のスループットが改善されたことを確認した．