渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2009年度 修士学位論文

光WDMネットワークにおける波長保留時間を考慮したパス設定法
市村 弘平

将来の高品質なマルチメディアサービスを実現するため, 基幹系ネットワークの超高速化,大容量化が求められている. 現在のネットワークの主要構成要素である交換部は 複雑な電子回路で構成されており,高速,大容量化することは技術的に困難であるため, 光の高速性・広帯域性を最大限活用した全光型WDMネットワークが期待されている.

様々なサービスに対応する光WDMネットワークにおいて, サービスに応じて設定する波長パスの保留時間は大きく異なる. 一方,波長の競合を避けるため,波長変換器などの衝突回避デバイスの利用が考えられている. 保留時間の長いコネクションに対して割り当てた資源については, 長時間占有され続け,他のコネクションに割り当てることができない. そのため,保留時間の長いコネクションに対しては あまり波長変換器等の資源を割り当てないことが望ましい. 経路選択や波長割当に関して,これまで多くの効果的な手法が考えられているが, 保留時間を考慮することで,より効果的な資源の活用が見込める.

以上の背景の下,本研究ではコネクション毎の保留時間を考慮した 波長パス設定方式を提案する. 提案方式ではコネクションを保留時間の長短によって2つのクラスに分類し, それぞれのクラスに応じた波長パスの設定を行う. 長期のコネクションに対しては, 極力同一波長の予約を行えるようにするとともに, 波長変換器の負荷分散処理を行う. 一方,短期のコネクションに対しては,波長のすみ分けを行うことで,資源の利用効率を上げ, 呼損率を大きく改善させる.

最後に,計算機シミュレーションを用いて提案方式を評価し, 提案方式が呼損率を大幅に軽減可能であることを示す. 特に,多数の短期間のコネクション要求と 少数の長期間のコネクション要求がある環境において改善効果が大きく, 既存の手法と比較して呼損率を90%以上抑えることが可能である.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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