現状のサービスプラットフォームでは計算機/ネットワーク資源の制御は独立して行わ れるのが一般的であるが,これらの制御は同一の機構に基づいて協調して動作すること で要求された品質を満たすことが望ましい.そこで筆者らはネットワーク制御機能を内 部のサービス品質を保証可能な範囲で分割・コンポーネント化し,同様にコンポーネント 化されたサービス制御機構と一元化するサービスプラットフォームを提案している.この プラットフォーム上では,提供サービスは各種コンポーネントの組み合わせとして実現さ れ,サービス品質を安定して保証するためにはこれらのコンポーネントにおける負荷を分 散することが重要である.
そこで本研究では,一定の通信帯域を要求するサービスの呼損率を低下させつつ,プロ セッサシェアリングによって計算機資源が割り当てられるサービスの処理時間を小さくす ることを目的とし,計算機/ネットワーク資源を同時に考慮した効果的な負荷分散手法を 提案する.この手法では,プラットフォームはリクエストの到着頻度に応じて今後の呼損 率と処理時間を推測し,これらの値が所定の値を上回らないように各コンポーネントを動 的に再配置することで,各サービスに対して必要な資源を割り当てる.
本論文ではシミュレーションによる性能評価を行い,提案手法の効果を確認する.