渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

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2014年度 修士学位論文

制限時間付き大容量ファイル転送のための帯域スケジューリングと経路制御
河野 史織

近年,ネットワークの高速・巨大化に伴い,大容量ファイルの転送要求が増加している が,これらは一般的にベストエフォートで処理されるため,転送完了時間を保証すること も予測することも困難であるという問題がある.本稿では,ユーザが定めた制限時間まで にダウンロードを完了させ,それが不可能な要求は棄却するモデルを考える.このモデル では棄却される要求を少なくするために,効率の良い帯域割り当てを行うことが求めら れる.また,厳密に要求の制限時間を満たすために帯域保証可能なネットワークを仮定す る.これに対して既存の研究では,帯域と経路を動的に変更しながらも,受理した要求は 全て制限時間内に完了させる方式を提案している.リンクの空き帯域と要求のファイルサ イズを考慮した経路制御により呼損率を低減しているが,実際に割り当てられる帯域は経 路全体の利用状況で決まるため呼損率を改善する余地がある.本稿では,制限時間付き大 容量ファイル転送において,帯域スケジューリングを考慮した新しい経路選択手法を提案 する.将来にわたる利用状況を近似予測する手法と,経路全体の混雑としてリンクを共有 する要求を考慮する手法について述べる.これらの経路評価指標を用いて,割り当て帯域 を最大化する経路制御方式を提案する.そして,新たな経路制御方式についてシミュレー ションによって提案方式の性能を評価する.

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