渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

1996年度 卒業研究論文

マルチメディア光ネットワークのためのセルフルーティング方式
西 章兵

近年高度なマルチメディアサービスを提供するインフラストラクチャとして、超高速全光ネットワークの研究が数多く行なわれており、その一方式としてホ ロニック光ネットワークが提案されている。ホロニック光ネットワークは光伝達ネットワークとパーソナルナビゲーションネットワークから構成される。前 者は実用化の難しい光論理回路の使用による複雑な制御を不要にするために単純な構造を持つ全光セルフルーティングネットワークである。後者は前者の単 純な機能を補うネットワークである。本研究では、光伝達ネットワークのための、単純な構造を持つセルフルーティング方式の研究を行なう。

まず本研究では、将来の通信需要を仮定し、交換機内で処理する必要のあるト ラフィック量を試算し、超大容量ネットワークの必要性を示す。マルチメディ ア光ネットワークの大容量性を実現するためには大規模な多重化が必要である。現在多重化方式としては、時分割多重と波長分割多重の二方式が主に研究され ているが、この二方式を組み合わせただけでは十分な多重度が得られない。本研究ではこの二方式に併せて符号多重(CDMA)を利用する事を提案する。符号多 重の基本的な符号化、復号化の技術は研究されているが、スイッチング方式への応用については研究がなされていない。本研究では符号多重化された信号を スイッチングするスイッチの構造を提案する。

さらに、交換機の構造の単純化のためにセルフルーティング方式を用い、セルフルーティングを実現する伝送フォーマットを提案する。このフォーマットで は、伝送する方法をセルと呼ばれるブロックに分割し、ルーティングを単純化するために目的地までの完全な経路情報を格納し、セル長を固定にすることで 交換機内部を同期動作可能にし、交換機の単純化を計る。さらにこの伝送フォーマットによりセルフルーティングスイッチングするためのスイッチの構造を提 案する。

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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