渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

1997年度 卒業研究論文

変動の大きなトラヒックを収容する小規模回線群における時間依存呼損率の推定
南 勝也

最近、インターネットユーザの増加に伴い、利用者数の多い時間帯になると1つの電話番号に対して呼が集中する。またインターネットでは、画像や音声も 扱うことから、保留時間の変動が大きくなる。このように、従来のものとは異なる性質を持ったトラヒックが生成されている。そこで本研究では、実測デー タを用いたトラヒック状況の推定手法を提案する。対象としているのは小規模回線群であるため、少ないデータからの時間依存呼損率の推定を行なう。

今回使用したモデルは、Mt /G /s / 0 であるが、このモデルにおける厳密な呼損率を導くことは困難である。そこで本研究では修正負荷近似(Modified Offered Load Approximation, MOL近似)と呼ばれる手法を用いた。この手法を使用するには、発呼率、保留時間の分布が必要である。実測データは時間変 動の大きなものであるので、発呼率は区分的に線形であり、保留時間は区分内では同一の分布に従うと仮定した。これにより、時間依存呼損率の計算式を導 出した。

また、この推定結果を評価するために、実測データを用いたシミュレーションを行なった。しかし、データ数の少なさが原因で非常に特異な結果が生成され る可能性が高いため、可能な限り一般性を持った結果を出力するためのシミュレーション手法を検討した。具体的には、発呼時刻と保留時間の2つ組のうち、 保留時間を時間区分内で入れ換え、擬似的データを生成することで達成した。またそれらの結果の比較を行なったところ、発呼率のピーク時における保留時 間の変動係数が、十分に小さな値を持っていれば、解析結果は安全側を満たし、呼損率推定が可能であることがわかった。

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