渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

1999年度 卒業研究論文

IPネットワークにおけるバースト転送型マルチキャスト映像配信システムの構成法に関する研究
宮本 慎吾

今日,人々の生活の多様化に伴い,見たい映像放送を放送予定時間に見ることが困難になりつつあり,今後,オンデマンド型映像配信(VoD)への需要が高ま るものと予想される.一方,将来のネットワークは,現在の情報インフラストラクチャであるインターネットを基盤とした高速かつ帯域保証型が主流になる と考えられる.従って,将来のインターネット上での効率的なVoDシステムの構築が必要不可欠である.

VoD方式への要求としては,オンデマンド性,帯域利用の効率性,個別制御,実装の容易性等が挙げられるが,本研究では様々な方式の中で上記の要求に対 する満足度が高い映像配信方式であるBurst VoD方式に注目する.本方式は,分割した映像ブロック単位のバースト配信を行う.また,適切なスケジューリ ングとマルチキャスト配信により,オンデマンド性と帯域利用の効率性を実現する.

本研究では,まず,インターネット上においてBurst VoD方式を実装するために方式の改良を含めた具体的な機能設計を行い,その上でC言語を用いてソフ トウェア実装を行う.映像配信用のサーバは,要求受信デーモン(映像要求の受付処理,スケジューリング),映像配信デーモン,時間デーモン(配信周期の 管理)から構成される.また,ユーザ端末のクライアントは,要求処理デーモン(映像要求の発呼処理,映像の受信),再生デーモンから構成される.映像は ソケット, UDPを用いて配信する.この際,任意のクライアントにACKを返信させることにより,平均的品質の確保とサーバの配信とクライアントの書込みと の間の同期を取る.本提案システムを,実験用ネットワーク上で動作させ,様々なタイミングの映像要求に対する正常な動作を確認した.また,上記のACKに ついてや適切なタイムスロット長に関する評価を行い,その有効性を確認した.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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