渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

1999年度 卒業研究論文

エージェント間通信のための広域ルーチング方式
永松 孝之

今日,人々の生活の多様化に伴い,見たい映像放送を放送予定時間に見ること近年のネットワークの巨大化に伴い,ネットワーク上で公開される情報やサー ビスは増加し,多種多様になってきた.このような大規模ネットワークをユーザが効率よく利用するために,モバイルエージェントが注目されている.

しかし,既存のエージェントシステムの多くは位置透過性を考慮していないため,ユーザはエージェントの位置及び数を的確に把握する必要があり,ユーザ の負担は大きくなる.この問題に対して,筆者の研究チームでは,位置透過性を実現したマルチエージェントシステムであるAgent Gatewayを提案している.

Agent Gatewayでは1つの仕事を複数のエージェントで協力して行うため,エージェント相互の通信が重要となる.しかし,エージェントは自律的に移動し, かつ複製及び消滅を繰り返すため,相互の位置を常に把握することは困難である.

そこで本稿では,Agent Gatewayにおいて,複数のエージェント間で通信を行う際,相手のエージェントの位置を意識することなく位置透過的に通信することがで き,かつメッセージの高速伝達と無駄なメッセージ送信の削減を可能とするルーチング方式を提案する.本方式は,Agent Gatewayの保持するエージェントの 移動元及び移動先ノードにおける活動情報を利用してメッセージのルーチングを行うものである.具体的には,各ノードはフラッディングアルゴリズムに基 づいて次ノードへメッセージを中継するが,自身の保持する情報からエージェントが存在する方面を選択し,その方面にのみメッセージを送信する.

最後に,シミュレーションによる性能評価により,本方式はフラッディングによる方式とほぼ同等の伝達速度を実現し,かつ総メッセージ数を大幅に減少さ せることができることを示した.またノード数に対してリンク数の少ない広域 ネットワークにおいて有効であることが分かった.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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