渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2000年度 卒業研究論文

MPEG映像の高能率IPパケット転送に関する研究
高橋 潤

情報メディアのディジタル化,情報圧縮技術の進歩,人々の生活の多様化,インターネットを利用したサービスの爆発的な普及により,ネットワークを介した映像配信サービス,特にインターネット上における オンデマンド型映像配信(Video on Demand:VoD)の需要が今後増大すると予想される.

インターネットは基本的に帯域保証の無いBest-Effort型であるため,映像配信を行う際には,他サービスとの競合による輻輳時のパケット欠落, システム効率の悪化による通信品質の低下を抑制することが重要である. そこで,本論文では,干渉トラヒックを考慮に入れたインターネット上での MPEG(Moving Picture Coding Experts Group)動画像転送技術に注目し,転送データのトラヒック特性とネットワーク状況を 考慮した,適切なQuality of Service(QoS)制御機構を確立する. 本論文では,まず,End-End間,中継ルータでの制御に区分して個別にQoS制 御を適用し,干渉トラヒックに対し強靭なシステムの規定を行う. パケットの種類を識別できるように転送を行うフレーム別転送制御の導入を前提とし, End-End間の制御としては,シャッフル転送によるバースト誤り防止制御,予めフレームを間引いて転送するフレームレート制御を行い,中継ルータでの制 御としては,各クラスのパケットを均等に送出するRoubd Robin(RR)方式,各クラスに重みを付けて送出に偏りをつけるWeighted Round Robin(WRR) 方式を用いたバッファ転送スケジューリング, 輻輳を回避するためのRandom Early Detection(RED)制御を行う. 次に,計算機シミュレーションによる総合的な評価を行い,中継ルータでトラヒック量を推定可能か否かにより,RR+シャッフル転送+状況に応じたRED, 又はWRR+レート制御+REDの組合せが特に有効であることを明らかにする.

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