渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2002年度 卒業研究論文

柔軟な帯域割り当てを可能とする
無線統合ネットワーク構成法に関する研究
細川 晃

近年,様々な特徴を持つ無線通信システムの発展に伴い,それらのシステム を状況に応じて使い分け,インターネットを利用できる環境が望まれている. これを実現するためには,各種無線通信システムをシームレスに利用可能に するネットワークが必要になると考えられる.

ここで,その構成として,システムの種類によらず,地理的に近接する基地 局を同一ルータに接続する構成を考える.この構成では,ルータの管理エリ アが異種システム間でサービスエリアが重なり合う垂直方向へ広がり,同一 システムのサービスエリアが隣接し合う水平方向への広がりをもたないため, 狭い範囲に位置する基地局間で上流リンクの帯域を共有することになる.そ のため,ある地域にユーザが集中した場合,それらのユーザに対してその周 辺のネットワーク利用状況に応じた帯域割り当てができない.さらに,この とき,ユーザはそれぞれ異なるアプリケーションを利用し,それに応じたシ ステムにアクセスすることから,各システムへのトラヒックが同時に高まる ため,異種システム間で帯域を柔軟に割り当てて負荷を分散させることもで きない.

そこで,本稿では,前述の構成では同一ルータに接続される基地局を,その ルータと幾つかの周辺ルータに分散させて接続するネットワーク構成を提案 する.本構成では,特に,サービスエリアが重なり合う異種システムの基地 局を異なるルータに接続することで,あるエリアにユーザが集中しても,各 システムを利用するユーザに対して柔軟に帯域を割り当てることができる. さらに,あるルータに障害が発生しても,異なるルータに接続された異種シ ステムに接続先を変更することで通信が継続できる.最後に,シミュレーショ ンにより本方式の性能を評価し,その有効性を確認した.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
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