渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2006年度 卒業研究論文

衝突回避を考慮した光パケットスイッチの構成法に関する研究
八尾 慎也

光の高速性・広帯域性を活用した 光WDMネットワークにおけるスイッチング方式として光パケット交換(OPS)の研究が進められている. 光パケット交換では,パケット単位でヘッダ情報に基づくスイッチングを行うため柔軟なネットワーク制御が可能となり, 帯域を有効活用することができる. 現在,光パケット交換網の実現に向け, 高速光スイッチの開発が進められており, 可変波長変換器(TWC)やファイバ遅延線(FDL)などの 高コストな衝突回避デバイスを スイッチ全体で共有して使用する, 高速マトリクス光スイッチを用いた 光パケットスイッチが開発・実装されている. しかしながら,現在開発中のスイッチは小規模であり, 基礎実験による動作検証は行われているものの, これまで定量的な性能評価は十分には行われていなかった.

以上のような背景の下,本研究では, まず衝突回避デバイスを共有する光パケットスイッチについて, 計算機シミュレーションを用いて性能評価を行い, 効果的な衝突回避デバイスの構成について検討する. 次に 衝突回避デバイスを共有するために生じる不公平性の問題を解決するために, 衝突回避デバイスの優先利用制御手法を提案する. 提案方式では, フロー毎に負荷に応じて衝突回避デバイスの使用ポリシーを設け, 高負荷なフローによる衝突回避デバイスの占有を抑制し, 他の通常フローのロスの軽減を図る. また,動的に使用ポリシーを変更することで, 負荷状況に応じた優先利用制御を可能とする. 計算機シミュレーションを用いて性能評価を行い, 提案方式の有用性を示す.

PDFファイル(研究室内からのみアクセス可能)
pagetop