渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2007年度 卒業研究論文

WLAN/WiMAX統合ネットワークにおける
呼損率低減化のための動的周波数割当手法
金森 悠一

近年,無線LAN,Cellular,WiMAX等の様々な無線通信システムが発展しており, それに伴い,移動端末利用者が増加し, 無線通信における広帯域通信の要求も増加している.そこで,各無線通信システムを統合することで, ネットワークの状態やアプリケーションの要求するQoS等,状況に応じた柔軟なシステムの選択を可能とする無線統合網の構築が期待されている.

しかし,通信に適した周波数帯域は限られており, 各無線システム毎に特定の周波数帯域を占有するにもかかわらず, トラヒックの増大によって各システムが要求する周波数帯域が増大している. さらに,周波数の利用状況において空間的,時間的な差異が存在する. これらのことから,周波数資源の逼迫が問題視されており, 限られた周波数帯域を有効利用する必要がある. そこで,現在,コグニティブ無線技術が注目されている. コグニティブ無線技術とは,無線機が周囲の電波環境を認識し, 状況に応じて使用する周波数を動的に切り替えることが可能な無線通信技術である. 他のシステムの利用周波数帯域を柔軟に二次利用することで,周波数の有効利用を図ることが可能である.

そこで,本稿では,コグニティブ無線技術を用いた WLAN/WiMAX統合ネットワークにおいて, VoIP等の安定したQoSを要求するストリーミングサービスに対して ユーザの呼損率を減少させるための 周波数共有手法を提案する. 具体的には,WiMAXの周波数帯をそのセル内に存在するWLANに,チャネル単位で一時的に割り当てることで, WLANのキャパシティを増加させ,呼損を低減する. 複数のWLANに同時に割り当てることで,効率的に周波数を利用することが可能である.

最後に,シミュレーションを用いて本提案方式の性能を評価した結果,十分なWiMAXの帯域幅がある場合に,呼損率を低減できることを確認した.

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