渡辺研究室 大阪大学大学院情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 インテリジェントネットワーキング講座(工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目)

2008年度 卒業研究論文

WiMAX/WiFi統合ネットワークにおける遺伝的アルゴリズムを用いた効率的周波数割り当て
中川 将史

近年,WiMAX,WiFi,Cellularといった様々な無線通信システムの発展に伴い, 移動端末を用いた広帯域通信への要求が高まっている. しかしながら,通信に適した周波数帯域は限られており, 一方で,周波数帯域の逼迫が問題視されており,限られた周波数を有効利用する必要がある. そこで,現在, 異なる無線システムを統合し,ユーザに効率的なサービスを提供する無線統合ネットワークに関する研究が盛んに行われており, その1つであるWiMAX/WiFi統合ネットワークにおいて, WiMAX の未使用周波数をWiMAX のエリア内にある複数のWiFi アクセスポイント(AP)で効率的に共有する周波数共有方式が提案されている. しかし,既存方式では,WiMAXの未使用周波数を割り当てるWiFi APは局所的な負荷の高い順に選択されており, ネットワーク全体で最良の割り当てパターンとはなっていない.

そこで,本稿では, WiMAX/WiFi統合ネットワークにおいて, WiMAXの未使用周波数帯域を割り当てるWiFi APを遺伝的アルゴリズムを用いて探索し, ユーザのスループットを向上させる方式を提案する. 具体的には,WiFi APの接続ユーザ数の合計を評価値とし, 隣接WiFi APに同じ周波数を割り当てないという制約条件のもとで,交叉,突然変異,淘汰を行う. 交叉は7エリアからなるクラスタを対象として行い, これにより発生する干渉を防ぐために突然変異を行う. そして,淘汰は評価値に比例した確率で残すリストを選択するルーレット選択によって行う. これらの操作を繰り返し行うことにより,より評価値の高い解を探索する.

最後に,シミュレーションを用いて本提案方式の性能を評価した結果, 各エリアの到着率が同じである環境,各エリアの到着率に偏りがある環境のどちらでも, 柔軟に対応でき,高スループットを提供できることを確認した.

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