Heterogeneous Networking
Background
近年,セルラー網や無線LAN,WiMAXなど,多種多様な無線アクセス網が確立されつつある. 種々の無線アクセス網を,個々に利用するだけでなく, これらのシステムを統合し相互連携した異種無線統合網の構築が考案されている. 異種無線統合網では,ユーザが接続するシステムを任意に選択・切替を行うことが可能となり, 混雑状況などに応じて切り替えることでより高速な通信を実現できる. しかしながら,現状では, ユーザが各自で接続するアクセス網を選択・切替を行うため,利便性に関する問題が生じる. また,無線通信に利用可能な周波数帯には限りがある一方で,マルチメディア通信の普及による 通信トラヒックの増加により,無線周波数帯の逼迫が問題となっている. 本研究ではユーザの目的や各システムの混雑状況などに応じて接続する無線アクセス網を自動選択する手法や, 各無線アクセス網で周波数帯域を共用し無線統合網全体で効率的に周波数帯域を利用する コグニティブ無線技術を取り扱う. これらの技術により,ユーザが多種多様な無線アクセス網を認識,選択することなく最適な無線アクセスを 行うことを可能とし,さらに異種無線統合網全体でシステムの効率的利用を目指す.
研究内容
- 1.ユーザ要求に応じたアクセスポイント選択手法
セルラー網,無線LAN,WiMAXはそれぞれ通信速度,電波のカバー範囲,通信安定性などのネットワーク性能に 違いがあり,目的に適した接続するアクセス網の基地局(アクセスポイント)の選択が必要となる. 本研究では,ユーザが利用するアプリケーションの種類やその利用目的に応じて必要となる性能や アクセス網の混雑状況を考慮し,接続するアクセスポイントを適応的に自動選択する手法に関して 研究を行っている. - 2.ハンドオフ制御方式
ユーザの移動や必要となるネットワーク性能,アクセス網の混雑状況などの変化によって 最適な接続アクセスポイントも変化する. そのため,適宜接続するアクセス網の切り替え(ハンドオフ)が必要となります. ハンドオフを行うと,周波数の切替やIPアドレスの変更などにより通信の中断が発生するという問題がある. 特に,異なるアクセス網への切替(無線LANからWiMAXへの切替など)では, 通信中断時間が長くなることが知られている. 本研究では,この通信中断時間を短縮するハンドオフ制御方式に関して研究を行っている. - 3.動的周波数割当手法
現在,各無線アクセス網には,専用の周波数帯(無線LAN 802.11a規格: 5GHz帯,WiMAX: 2.5GHz帯など)が 割り当てられているが,近年の無線技術の発展により,これらの周波数帯の逼迫が問題となっている. この問題に対して,コグニティブ無線技術が研究されている. コグニティブ無線技術を用いることで,本来の使用アクセス網が一時的に使用していない 周波数を他のアクセス網が利用することが可能となる. 本研究では,使用されていない周波数帯を 他のアクセス網で有効利用することで,無線統合網全体で周波数利用効率の向上を目指す.